和海ちゃんと番くんは相変わらず仲良く登校して、私を見つけると番くんに手を振って、向かってきた。



「なに、またやってるの」

「うん。香奈恵ちゃんが鴇田くんに雪を投げてから、ずっとだよ」

「……小学生じゃん」


呆れた様子で笑う和海ちゃんに私も同感して頷いた。



香奈恵ちゃんにシメられている鴇田くんをみた。




……鴇田くんにはこれから大事なことを、伝えないといけないんだよ。


笑っているその顔がこれから崩れていくと思うと、胸が千切れそうになる。


だって彼にはたくさんの元気をもらったから。

その明るい笑顔で。




「……きょう、だっけ?」


和海ちゃんも鴇田くんをみて、耳元で言った。
それにゆっくり頷いた。



「緊張、してるの?」

「ううん。それはしてない。ただ……」


これから伝えることで鴇田くんは私とこれからも仲良くしてくれるだろうか。

彼の笑顔を奪ってしまわないか。


私は彼にハッキリと断らないといけないんだ。


あの日鴇田くんはこう言った。



『……俺のこと、少しでもいいから考えてくれると、嬉しいな』と。


彼の本気さは十分に伝わった。とても嬉しかった。


それでもキミの存在が私の中で大きく光ってた。
忘れたくても忘れられない存在。
好きな人が、脳に、心に、浸透して埋め尽くす。



キミを想わない日は一度だってなかった。