届かないこの想いを、胸に秘めて。






「……ちゃん……せっちゃん!」


目を開けると和海ちゃんと目が合った。



あ、私いつの間に寝ちゃってたんだ……。


……嫌な夢を、見ちゃったな。

夢というか、記憶っていったほうが正しいかな。


あれからそればかりが瞼を閉じるたびに、繰り返される。


だからキミが出る夢はもう見なくなっていた。




「おはよ!もう着いたよ!」

声を弾ませて言う和海ちゃんに応えて、座席を立った。


機内から空港内へ。
和海ちゃんのあとを付いて行く。

みんなは少し先に出ちゃったみたいで、完全に機内を出て空港内を出ると、入口でみんなが待っていた。


もちろんほかの生徒もいる。


それでもすぐに分かったのは、鴇田くんが大きく手を振ってくれていたから。




「お待たせしました〜」

「長田さん、おはよう!」


合流して和海ちゃんがみんなに一言いうと、鴇田くんが私にそう言った。



「……おはよう」

「……長田さんって、もしかして寝起き悪いほう?」


微笑して顔をのぞいてくるから思わずドキッとしてしまった。


て、私態度に出ちゃってた!?

……だよね。そうじゃないとこう言ってこないもんね。




「ち、」

「ちょっと、鴇田ー!うちの子になにすんだよ」


『違うよ』そう言おうと口を開けたとき、横から大きな声が割入ってきた。


香奈恵ちゃんが私を後ろから抱きしめるからなんだか恥ずかしくなった。