届かないこの想いを、胸に秘めて。






ため息が聞こえた。

呆れてるんだ。こんなことが私たちの関係を傷つけた原因ってことに。




「んっとさー、雪菜ってかわいいな!」


俯いた私に明るい声で言う香奈恵ちゃんが頭をクシャっとさせた。

目を見開いた。



香奈恵ちゃんが和海ちゃんに「そう思わない?」って聞いて、即肯定の声をあげる。




「その話って、委員会が延期になった日だよね」

「……うん」

「で、雪菜がトイレ行って……」



和海ちゃんはその日いなかったからその話を聞いて「へぇ」と話の合間に発していた。




「……後ろから脅かそうとしたら、その、……」

「聞いちゃったんだね」


口の中でもごもごしていると、和海ちゃんが察したように言った。
それに頷く。



キミの弾んだ声を聞いて、驚いた。
香奈恵ちゃんはモテるから、そんなことは有ってもおかしくない。



でも、その現場に出くわして、声を聞いて、ひどく心が痛んだ。


『好き』って言ったキミの声が、本当に好きなんだと思ったから。