届かないこの想いを、胸に秘めて。






「さーて、聞こうか」



香奈恵ちゃんがそう言いながら、私の前の席に座った。体は私の方へ向けて。



誰もいない教室に私と香奈恵ちゃん、和海ちゃんが残った。

和海ちゃんは私の隣の席に腰をおろしている。




「で。私が、なんだっけ?」


わざとらしく一部を強調させて、前で歯をむきだしに笑って言う彼女を見た。



ぐっと喉を詰まらせた。




もう逃げ場はないって感じで笑うから。

その表情はとてもこわい。


別に怒ってる様子はみられない。
それでも、なんか……。



うぅ。もう圧力が凄すぎて……。香奈恵ちゃんの顔が見られないよ。


私は手に力を入れた。
その事実を受け入れる覚悟を持つために。
力強く。