届かないこの想いを、胸に秘めて。






だって、キミが好きなのは。

あの時告白してた相手は……。





「……香奈恵ちゃん、じゃん」




小さく言ったつもりが2人には届いたみたいで、ふたりの目が点になった。



香奈恵ちゃんは「は?」って口だけが動いていて、和海ちゃんはクエスチョンマークが頭の上に表示されているように見えた。



まだ完全に心に負った小さな傷は治っていなかったみたいで、気が付いたらそんなことを口に出していた。



この事だけはまだ聞けていなかった。

香奈恵ちゃんに聞かないとって頭の隅にはあったんだけど。

やっぱり知るのには怖くて。



「気にしないで」そういう前に本鈴が遮って、先生が入ってきたのを合図にまだ立っていたクラスメイトが一斉に動き出して席へ戻っていった。



その際、香奈恵ちゃんが一言もの申した。



『その話あとで詳しく、聞くから』と。