そして、香川 佳穂を引っ張り歩く。


振り向き様に女たちの泣きそうな悔しそうな顔が目に入った。

彼女らが折れてくれていたらいいのだけど。


無意識に歩いていると辿り着いたのは屋上だった。


「ゆ、結愛ちゃん!助けてくれてありがと!」

「目に入ったんだから仕方ないでしょ?」

「えへへ、ありがとう」

香川 佳穂ははにかみながらもう一度私にお礼を言う。

なんでそんなに嬉しそうなのか、わからない。


「ね、結愛ちゃんって今日はお昼まだなの?」

「え、あ、うん。まあね」

「じゃあ一緒に食べよ!」

「ここで?」

「イヤ?」

「別にいいけど」


彼女はふふっと笑ってお弁当を開き、たこさんウインナーを口の中に放り込んだ。

私も購買で買ったおにぎりの封を切って、頬張った。

久しぶりに食べたけど、意外と美味しい。