成宮 隼人は私に向き合うと、そのブラウンの瞳孔で私の目をじっと見つめた。

そして、ふいっと逸らす。


「俺は、親父の会社を継ぎたくないんだよ」

「あなたって跡取りなんじゃ…」

「違えよ。俺はただ親父を手伝ってただけ。なのに急に継がないか、とか言い出しやがって…」


そういうこと、か。
跡継ぎ問題って揉めそうだしね。


「…御両親は、あなたの居場所を作ってくれてるんじゃないですか?感謝しないと」

「別に俺は頼んでねえし」

「でも、強要されてるわけではないんでしょう?」

「……、」

「なら、いいじゃないですか」


後継者に選ばれるということは、彼が会社にとって必要な人材だと認められたということ。

家族の一員であることを認められているということ。

…私には、無いもの。