次の問題は…。


その時、ドアの方から物音がした。

誰か来た?珍しい。


次の授業の予鈴がなるまであと10分程。

こんな中途半端な時間に此処に来る人なんて。


まあ誰が此処に来ようと私には関係ないことだし、と再び問題に目を滑らせるも、集中出来ない。

ドタドタと慌ただしい靴音が近づいてきたからだ。


「あっ、結愛ちゃん!!やっぱり此処にいた!」

「えっ」


足音が止まったと思えば、もうすっかり見慣れた笑顔がそこにあった。


「香川さん、なんで此処に?」

「もう、結愛ちゃん。探してたんだよっ!」

「え?」

彼女は頬をぷくりと膨らませて、見るからに"怒っている"表情をした。

そんな顔は自分を可愛いと思っている人しか出来ないと思うのだが、彼女の場合は天然でやっているから恐ろしい。