「辛かったら、」
「え?」
「辛かったら俺のところに来い」
「は?」
全く、何を言い出すんだこの人。
行くわけないのに。
「辛いことなんてないです」
「…そうか」
「はい」
「それでも、話したい時が来るかもしれないだろ」
話したい時…。
そんな日、来るのかな。
弱い自分なんて人に見せたくない。
私というイメージを壊したくない。
そんな簡単に"話す"というのはできることじゃない。
それも住む世界が違う、この人に。
案外、この人も脳内が幸せな人なのかな、と思った。
人の辛さ、苦しみを分かち合うってなかなか出来ることじゃないと思う。
唯でさえ自分の荷物だけでも精一杯なはずのに、他人の荷物まで背負える強さ。
そんなものを持ち合わせるなんて、そんな人いるとは思えない。