「何、言ってるんですか。そんなわけないでしょう」
「痛いのか?」
違うって言ってるじゃん。
痛い。痛いよ。
でも昨日ほどじゃない。
昨日は湿布を貼って寝たから、大分痛みは引いた。
「痛くないです」
「なんか、あったんだろ?」
「ちょっと、…転んで足をくじいたんです」
「ふーん」
彼は私を見ず、ずっと真っ直ぐ前を向いて話している。
何を考えてるんだか、よくわからない人だなあ。
「あ、昨日の帰り道で絡まれたとか、そういうのじゃないですからね。本当に転んだだけです」
「……、」
まさか責任を感じて聞いているんじゃないかと、訂正を入れておいたが無言のまま。
責任を感じてじゃなかったら、どうして送ってくれたのか。
どうしてそんなことを聞いてきたのか。
本当にわからない。