家を出て、そのまま無言でしばらく歩いた。
彼の顔を盗み見る。
艶やかな黒い髪に、決め細やかな肌、ビードロのように透き通った目。
見れば見るほど部品が整っていて、綺麗な顔立ちだと思う。
「なに?」
「…いえ。逢坂さん、もうここでいいですよ。寄るところがあるんですよね?」
「あー、それは嘘だから。気にしなくていい」
嘘?何の為についたんだろう。
私には理解不能だ。
「それより、どうしたんだよ?」
「はい?」
「右足を庇ってるだろ」
「…え」
一瞬、思考が停止した。
まさかバレているとは思っていなかった。
だって他の三人は絶対に気づいていなかったから。