「俺のものになって…」
心臓が…止まりそう。
とにかく早く刻む鼓動は私の体温を上げていき、涙はとめどなく流れてくる。
「だって…、湊。実波さんが…っ、婚約者…」
「そんなん、断ってたに決まってんだろ。馬鹿じゃねえの」
「ば、ばか?」
酷い。
って思いつつ、口が悪いところにもきゅんとしてしまっている私は末期だと思う。
「だってそんなの、聞いてないし…」
「何回も話そうとしただろ。実波と会ってたのは、婚約を破棄するために色々話し合いとかあったんだよ」
私が逃げてたから。
だから湊は…。
「それじゃ私は何のために湊から離れたの?」
「…ユア?」
「だって実波さんとの仲を邪魔しちゃいけないって、そう思って。でもセーブできなくてこれ以上湊の傍にいちゃいけないんだって思って」
いっぱい考えて出した私の決断。
なのに、こんな…。