この数日でも、湊と実波さんの姿を何回か見たけど、胸が張り裂けそうになって、痛くて。

この場所から脱したいと思った。


結論は、私は湊と実波さんから逃げようとしている。


けど、この考えが必ずしも間違っているとは思っていない。

もしかしたら、私がいなくなることでふたりが幸せになるかもしれない。

ふたりが私に囚われなくて済むかもしれない。


だから、

「ユア?」

私は、

「どうした?ぼーっとして」

「え?…別になんでもない」


せめて今日まで、湊への気持ちを押し殺さなければならない。

私を不思議そうに見る湊。

湊の瞳に私が映ることはもう無いんだな、と思うと寂しさと切なさが込み上げてきた。

胸の奥から、苦いものが溢れ出てきて苦しい。