「湊くんって優しいし」
知ってるよ。
「勉強も仕事もできて」
それも知ってる。
「会いたいって言ったらすぐに会いに来てくれるし」
もうやめて。
「私の自慢の婚約者。大好きで大好きで堪らないの」
やめてよ…!
ちゃんとわかっていた。
いや、わかっているつもりだった。
実波さんと私の差ってもの。
でも、現実に突きつけられると、目の前が真っ暗になって行き場を失くしてしまう。
私の気持ちはどこにやればいいの?
私の湊への想いは…?
せめて気持ちを伝えるだけでもできればなんて甘い考えは捨てなきゃいけないと悟った。
けど、私の気持ちの置き場がどこにあるかはわからなかった。



