「確かに。僕も少しわかる気がする」

「私も」

「なんでみんなわかんだよ!」

「隼人はまだお子ちゃまってことだろ」

「はあ?」


隼人が湊を睨みつけるけど、正直全然怖くないんだよなぁ。

なんていうか、トラの子どもみたいな感じ。


「隼人」

「あ?」

「拓」

「はい?」

「佳穂」

「なあに」

「湊」

「……、」

「ありがとね」


私の声に被せるかのごとく、一際大きい花火の音が鳴った。

もしかしたら4人には届かなかったかもしれないけど。

でも、伝えたかったわけじゃなくて言いたかっただけだからこれでいいんだ。


ドーンドーンと花火はまだ上がっていく。

そんな中、みんなに気づかれない背面で、湊が私の手をぎゅっと握った。


私はその手の暖かさと胸の痛みで、涙腺が緩んでしまわないようにじっと堪えた。