「迷惑だったらちゃんと『迷惑』って言うから。それまでは今の佳穂のままでいいよ」
「え、それはそれで怖いよ!」
「でもさ、ほら。ちゃんと気持ちは言葉で伝えないと」
「確かにそうだけど!」
でも、私は知ってる。
佳穂は何も考えていないようでいて、たくさん考えて行動してるってこと。
先日のことだってそうだ。
私が攫われたあの日、帰ってきた私に起こったことを聞くこともせず、テキパキと手当をしてくれて笑顔で他愛もない話をしてくれた。
それで結構救われたんだって、佳穂は知らないでしょう?
いつか伝えてあげようと私は思った。
今はまだ教えてあげないけどね。
「結愛ちゃん大好きっ」
晴れやかな笑顔の佳穂に、私は心から微笑み返した。