不意に腕を掴まれ、ピタッと足が止まる。

…次は何のようなんだ。

「はい?」


控えめに笑顔を作って振り返り、彼女を見る。


「私と、私と友達になってくれませんか!」

「…え?」

何を言い出すのか、この子は。

もう関わるつもりは毛頭ないのだけど。


「私、高野さんのその正義感溢れるところ、好きになりました!お願い!」

「……、」

正義感。なんて私と無縁な言葉だろう。

当たり前だけど、私の上辺しか知らない彼女と私は仲良くなれる気はしない。

元々、誰とも仲良くしなくてつるまないのが私なのに。


「私は、誰とも友達にならないの」

私が笑顔でそう言えば彼女は目を丸くした。

そして笑って言う。


「だったら、これからなればいいじゃん!」