目を覚ますとそこは無機質なコンクリートの部屋だった。


口元は相変わらず布で塞がれていて、手足はロープで拘束されている。


そこで、ああ攫われたんだと思い出した。


私が首筋に当てられたものは多分スタンガンで、それで倒れてしまったのだと思う。


私としたことがとんだ失態だ。

というか、まさか私が攫われるとは、そこまで考えが及ばなかった。


コンクリートの冷たさがやけに体に染みる。



───ガチャ

唯一の扉が開いて、不躾な男がふたり入ってきた。


茶髪と黒髪でピアスをつけている、如何にもな2人組だ。


「あれ、目覚してんじゃーん」

「え、マジじゃん。ボスに報告しなきゃ〜」


喋り方からなんとなく馬鹿そうな印象が漂っていた。