「どこいくのっ?」

「散歩。ちょっと夜風に当たってくる」


玄関を開けると夜にも関わらず、モワッとした蒸し暑い空気が私を包んだ。

これじゃちっとも頭を冷やせない。

いつまでもイライラが募っていくだけ。


家にいたくない。

その一心で歩みを進める。


なんだか急に湊たちに会いたくなった。

不覚にも会いたくてたまらなくなった。


いまどうしてるかな、なんて前までの自分じゃ考えもしなかったことを考えてみる。


不思議だけど彼らのことを思い浮かべると、
自然と笑みが零れた。


心の中の苛立ちも薄まっていく。



早く明日になればいいのにとか小学生じみたことでさえも考えてしまう。


私は暗闇の中に溶け込むように歩き続けた。