でも、お義母さんはなんでこんなに機嫌がいいんだろう。
喜ばしいことだけど、おかしい。
だってお義母さんが笑うのは、あの時しか…。
───ピンポーン
不意にチャイムが鳴った。
「私が出る」
お義母さんの背中に向かって呟き、玄関に行った。
扉の磨りガラスには黒い影が二つ揺れている。
ああ、やっぱり。
私はガチャリと鍵を開けてゆっくりと扉を開いた。
「結愛、ただいま!」
「…お姉ちゃん、お父さん、」
やっぱりこの2人が帰ってくるから…だからお義母さんの機嫌が良かったんだ。
「結愛、元気にしてたか?」
お父さんが私に微笑みかけた。
…本当は、そんなこと思ってもないくせに。
「うん、元気だよ」
私もお父さんに笑顔を作り答えた。