「お前の居場所はここだ」

「…っ、」


…息が詰まった。

そんなことを言われる日が来るなんて思ってもみなかった。

そしてなにより、初めて見る湊の満面の笑みは綺麗で、夜空の星なんかよりずっと綺麗で。

その顔を見た瞬間、その言葉の意味を知った瞬間、私の世界はワントーン明るくなった。


こんな綺麗なものを見るのは久しぶりで、嬉しくて。


「なんだ、笑えるんじゃん」

「え?」

無意識のうちに笑っていた。


「今までも笑っていたでしょ?」

「あの嘘くさい笑みが"笑っていた"に入るとでも言いたいの?」

「……、」

「そっちの方が可愛い」


また向けられる笑顔に今度は体の奥からじわじわと熱が湧き上がってきた。

わかってる、…お世辞で言ってるんでしょ。

慣れてるんでしょ、こういうの。


「…ありがとう」

どの言葉に向けたお礼かは私にもわからない。


私は一度笑顔を浮かべようとしたが、それはぎこちないものになってしまった。