「じゃあケーキ食べよっか!」

「僕が切り分けるよ」

「ありがとう、拓くん。結愛ちゃんどこでもいいから座って!」


え、どこでもいいって…。

どこでもいいからと言われても迷ってしまうが人間で、その場に棒立ちする。

でもそのまま立っているわけにもいかないので目の前にあった椅子に腰を落とそうとした。


「ユア。こっち」

だけど、テノールの凛とした声が私の周りの空気を割いて耳に届いた。


見れば、逢坂 湊がソファーの彼が座っている隣をぽんぽんと軽く叩いている。

…隣に座れと?


断る理由もなくストンと隣に腰を落とした。


「あ!なんで結愛が湊の隣に座ってんだよ!」

「ダメだったの?」

ただ疑問に思ったことを聞いた。

隼人があまりにも必死な顔をしていたから。


もしかして逢坂 湊の隣は座ってはいけないというルールがあったのかもしれない。

…まさか隼人が逢坂 湊の隣に座りたかったとか?

いやいや、それはないだろ。

気持ち悪い。