「美也子、遅かったじゃん」

理科室にようやく
たどり着くと
一足早く親友の
一ノ瀬 真央が
軽く手をあげた。

「あ、ちょっと人と
 ぶつかっちゃってさ‥‥」

「え?誰と?」

真央はきょとんとして
向かいの席につく
美也子を見る。

「ん、和馬って呼ばれてた」

美也子が少し顔を赤くして
そう言った。

「和馬‥‥って
 4組の金髪の?!」

「え?‥‥ああ、
 金髪だったね‥‥」

美也子の反応に
真央は青ざめたように
震える声で言った。

「あの人ってめっちゃ
 不良で有名な‥‥
 美也子!何もされなかった?!」

「え?‥‥えっと
 あたしは大丈夫だよ」

そうまったり答える美也子の
頬はまだほんのり赤かった。