お昼。
いつもの美也子と真央の
間に和馬が座っていた。

「あの時は驚かせたみたいで」

和馬はそう真央にいうと。
真央は顔を赤くして
慌てて喋りだした。

「あれはっあたしが
 一方的に勘違いしててっ‥‥」

「わかってるって」

和馬はおもしろそうに笑って
真央を見ていた。

美也子は和馬の買って来た
パンにかじりついていた。
2人のやり取りがおもしろいのだ。

そして明らかに
冷たい視線が美也子に
突き刺さる。

「美也子」

和馬は気を使うように言う。

「気にしなくていいよ」

「‥‥うん」

とは言ったものの
気にならないわけがない。
今にも殺されそうなオーラだ。

そんな時だった。
勢いよく教室に
入って来たのは
オレンジの短髪の
猿みたいな男の子だった。

「おーっす、遅くなったな」

その男の子は和馬に
抱きつくとそう言った。

「いちいち抱きつくな
 気持ち悪いっ」

「‥‥あ」

美也子は思わず声を出した。

「あ、もしかして
 あの時の子?」

猿みたいな男の子は
和馬に聞く。

そうだ、美也子は一度
この男の子を目にしている。