日が落ちる頃。
美也子はバイクにまたがって
和馬は側のベンチに
座っていた。

「今日はありがとう」

美也子は嬉しそうに言う。

「ああ、俺も楽しかった」

「あの‥‥さ」

美也子は言う。

「誤解してた」

「‥‥え？」

「あたし和馬ってすごく
　怖くてヤバい人って
　思ってたんだ‥‥でもね」

その時和馬が
美也子の口をふさぐように
キスをした。

「‥‥」

美也子は驚いて
抵抗も何もしなかった。

甘い香水の香りが
いつも以上にする。

「‥‥ごめん
　でも‥‥あの時から
　好きだったから‥」

和馬は美也子に言う。

「‥‥」

美也子は顔を真っ赤にして
うつむいてしまった。

「‥‥‥あたし
　‥‥えっと‥‥」

美也子が顔をあげると
美也子の目から一筋の
涙がこぼれた。

「あ‥あの‥‥違うの
　イヤとか‥‥そういう　
　わけじゃなくて‥‥」

美也子はあわてて
涙を拭き取って言う。

「やっぱ‥‥イヤだよな」

和馬は悲しそうな表情になる。

「違う‥‥違うのっ
　あたしも‥‥好きだから」

美也子は背を向けた和馬に
飛びつくように抱きついた。