屋上に来ると
屋上にいた
生徒達が遠慮するように
そそくさと校舎に
戻っていってしまった。

「‥‥俺嫌われてんだね」

和馬はそう苦笑いすると
少し悲しそうに
フェンスによっかかって
ベンチに腰を降ろした。

美也子は和馬と
少し距離をあけて座る。

「‥‥やっぱ怖いかな
 俺って‥‥」

空を見上げて
気持ち良さそうに和馬は言う。

「‥‥怖くないよ」

たしかに怖い。
けどびっくりするくらい
かっこいいし優しい。

喧嘩っぱやくて
言葉も悪い。

けれど

「うん‥‥怖くないよ」

美也子は和馬との
距離を埋めるように
ベンチに腰をかけなおす。

「‥‥優しいしね」

そう笑顔で言う美也子に
和馬は言葉が出なかった。

「‥‥あのさ」

和馬はすごく
言いづらそうに
口をつぐませながら
何かを言おうとしている。

「俺‥‥」

その時だった。
午後の授業の予鈴が鳴った。

「あ‥‥もうこんな時間だ」

美也子は携帯の画面で
時間を確かめると
ベンチから立ち上がった。

「えっと‥‥和馬くんは
 授業出るの?」

「‥‥そういえば最近
 出てねえな‥‥」

美也子は手を差し出した。

「行こっか」