とりあえず城に入る

「お帰りなさいませ。誠坊っちゃま」

メイドが深々とお辞儀を……
いやいや、そんなことはどうでもいい。俺はまずトイレに行きたいんだ!

「あ、あの……トイレってどこですか?」

やっと絞り出した言葉。もうそろそろ限界ってか、漏れそう。
メイドは俺の様子を見て慌てたように「こちらです!!」と案内してくれた。

ジャー
「ふぅー。何とか漏らさずにすんだ。」

トイレから出てきた俺はメイドに礼を言って、ついでに城案内してもらうことにした。

数十分後……

「……そして、あちらが寝室。こちらが書斎となります。これで一階部分は終了となります。続いて2階部分ですが、……」

数十分続いてまだ終わらないのかこの城の案内は。どういう事だ。長い。長すぎる。うん。広いのが悪いんだよな。

「あの、メイドさん?」

話しかけると「何でしょう?」と柔らかな笑みを浮かべて話しかけてくれた。

「その、こんな調子で続くんでしょうか……?」

「はい。続きますね。ただいま一階のみなので、これが後2階分続くと思っていただければよろしいかと……。」

後、2階分。その言葉を聞いて俺は即言葉を発した。

「後は適当に見るんでもういいです!暇な時にでも見て回るんで。」

これ以上は退屈過ぎて説明を聞けそうにないし、それ以上に急に攫われて疲れていたのか体がだるい。メイドもそれに気づいたようだ。

「あぁ、来られたばかりでお疲れでしたよね。寝室へお連れ致します。」

そう言うと寝室まで連れてってくれた。
寝室に入るや否やベットへダイブ。そのまま夢の中へ落ちていった。これは夢だったんじゃないか。そんな期待も込めて眠りについた。
そんな期待が裏切られるだろうとも思いながら。裏切られたらそれはベットでおもらししてしまっていることとイコールだからだ。