妻に、母に、そして家族になる

「どうやって帰るの?タクシーとか?」

「ううん。この時間なら迎えに来てくれるから、しばらくここで待ってる」

「……ほ~う」

……なぜだろう。佳奈が悪い顔をしてる気がする。

「まさか彼の姿を見てから部屋に戻ろうとしてる訳じゃないよね」

「ふっふっふ。そのまさかよ。そのカッコいい彼がここに来るのに、見ずして部屋に帰るなんてできるわけないじゃない」

キランと言う言葉が似合いそうなキメ顔をしたと思ったら、佳奈はロビーのソファにストンと座った。

こうなってしまった佳奈はおそらく梃子でも動かないだろう。

まったくしょうがないな。

「もう……。一目見たら部屋に戻るんだよ」

バックからスマホを取り出し、信濃さんに電話を掛ける。

すると私の電話が来るのを予期していたかのように、すぐに信濃さんの声が聞こえた。