妻に、母に、そして家族になる

「……その病気って、いつも飲んでる薬と何か関係ある?」

一瞬だけ、一際大きく心臓が高鳴った。

今まで信濃さんやハルくんに私の病気のことは話していなかった。

喜びを分かち合うことはあっても、私が抱える苦しみまでは分かち合うつもりは無かったから。

……でも、話した方が良いのだろうか。

この先、私の身に何が起きるのか分からない。

もしかしたら明日突然倒れるかもしれないのだ。

分からないからこそ、もしもの時の為に、彼に病気のことを話しておくべきかもしれない。

それに傍に助けを求められる人がいるだけでも安心感があるし、もしもの時が起きても信濃さんが少しでも混乱しないように。

やっぱり話そう。

これからしばらく一緒に暮らしていく以上、病気のことを知っておいてもらった方が良いだろうから。

「白血病です。私が飲んでいるのは白血病の薬なんです」

頭を撫でていた手がピクッと跳ねる。

「そうか、白血病か……」

彼は一言呟くと口を噤む。

その目には暗い色が浮かんでいた。

割と世間に知られている病気だから、どのようなものか知っているのだろう。そして最悪の場合もあることも。

「信濃さん」

彼の腕から抜け出し、持っていたコップを机に置くと、俯いた顔を両手で挟んでこちらを向けさせる。

「私の顔、具合が悪そうに見えますか?」

そう尋ねると、信濃さんは首を横に振った。

「そうでしょう?今、とても体の調子が良いんですよ。今の暮らしが合っている証拠です。だからあまり心配しないでください」