妻に、母に、そして家族になる

それに、いくら仕事が忙しくとも、仕事に打ち込む信濃さんは本当に生き生きとしていているのだ。

プロジェクトリーダーを任される程なのだから、才能だってあるのだろう。

だから今は仕事に集中してもらいたいのだ。

そんな信濃さんを見ていて思う。

今は共働きが多い時代だけど、この人に至っては共に働いてくれる女性よりも、家や子供のことを任せられるような女性の方が合っているのかもしれないと。

実際、一人で二人分ぐらいの給料を稼いでるし、奥さんが専業主婦でも十分暮らしていける。

「お仕事頑張ってくださいね。でもあまり無理しないでください」

「ありがとう。本当、橘さんがいてくれて助かるよ。子供の扱いに慣れてるから、ハルを安心して任せられるし」

「まあ、これでも一応保育士を目指して勉強してましたから。……途中で辞めちゃいましたけど」

「橘さんだったら絶対良い保育士になれるのに、どうして……」

私はすぐ答えず、温くなった白湯を一口飲んでから、絞り出すように言った。