妻に、母に、そして家族になる

コーヒーや砂糖を入れる時、ハルくんは何とも言えない表情をしていた。

これはコーヒーや砂糖入りカレーを疑ってるな。

「はい、味見」

小皿にカレーを少量掬って、ハルくんに渡す。

ハルくんは恐る恐るカレーを舐めると、驚いた様に目を大きく開いた。

「美味しい!」

「よかった。信濃さーん、カレーできましたよ」

「あ、うん」

信濃さんはテレビを消して準備を手伝ってくれる。

ダイニングテーブルにカレーやサラダを用意して椅子に座る。

「お口に合えばいいんですけど」

作った料理を人に食べてもらうのは初めてだから緊張する。

さっき味見の時、ハルくんは美味しいって言ってくれたけど、信濃さんはどうだろう。

ドキドキしながら彼が食べる姿を見つめていると、信濃さんが「おっ」と呟いた。