妻に、母に、そして家族になる

「お手伝いしていい?」

「あら、ありがと~。じゃあ、これ炒めてくれる?熱いから気を付けてね」

「うん!」

元気いっぱいに返事をしたハルくんにカレーの具を炒めるのを任せて、私は使い終わった調理器具を洗っていく。

ハルくんの様子に気を付けながら手早く洗っていると、今度は信濃さんがやってくる。

「何か手伝うことは……」

「ハルくんが手伝ってくれているので大丈夫ですよ」

「ああ、そう……」

何故だろう。何だか残念そうな顔をしてる気がする。

「え~と、じゃあ、食後の皿洗いをお任せてもいいですか?それまでゆっくりしててください」

「わかった、お願いね」

信濃さんはしばらくこっちを見たりして、そわそわと落ち着かない様子だったけれど、テレビでバラエティー番組を見始めてからは落ち着いたようだった。

肉や野菜を煮詰めている鍋にカレー粉を入れると、フワッとスパイシーな香りが広がる。

「完成?」

「ううん、まだだよ」

カレーの中にインスタントコーヒー、砂糖、ケチャップ、牛乳、ウスターソースを入れる。