妻に、母に、そして家族になる

いや、でも。

「そもそも。ハルくんの意見もなしに、決められる訳ないじゃないですか」

遊びの計画を立てるのとでは訳が違う。

いくら私に懐いてくれているハルくんだけど、一緒に住むのは気を使って嫌かもしれない。

「ハルなら大丈夫だと思うけど」

「そんなの分からないじゃないですか」

「じゃあ、ハルは俺から説得するから。家賃もいらないし、橘さん用の部屋も用意するし、どうかな?」

な、なんて魅力的な話なんだろう……。

生活がピンチな身としてはどんな宝石よりも魅力的な話だ。

そして、ついつい信濃さん達との生活を想像してしまう。

バイトから家に帰ると、先に帰っていたハルくんが「おかえり」と言ってくれる。そして私が「ただいま」と返す。

その逆でもいいな。

その後に信濃さんが帰ってきて「おかえりなさい」と言う。

料理は得意な方だから、私が作ってもいい。三人で夕食を食べてまったりと過ごす日々。

すごく素敵だ。本当の家族みたい。