妻に、母に、そして家族になる

店を出て、夜の駐車場をハルくんと手を繋いで歩く。

ハルくんのもう片方の手は信濃さんが繋いでいた。

「ハルくん、お腹いっぱいになった?」

「うん!」

「そっか。いっぱい食べてたもんね」

私よりもたくさんのお寿司を食べて、おまけに茶碗蒸しまで食べていた。

さすが食べ盛りの男の子だ。

「フミちゃん、また行こうね」

また……か。

「うん、また行こうね」

また、があるなんてわからないけど、今はこの返事でいいと思う。

今はこの子の笑顔を曇らせるようなことを言いたくなかった。