妻に、母に、そして家族になる

「フミちゃん、食べよう」

「うん。いただきまーす」

生まれて初めての回転寿司。

醤油をつけて食べると、シャリとエビの甘みが口に広がる。

その後にわさびのツンとくる味。

久しぶりのお寿司。

ああ、美味しい。

百円でこれなら十分満足。

「美味しい?」

「うん。すごく美味しい」

「よかったね、お父さん」

「ああ、そうだね」

それから三人でお寿司を堪能して、お皿が重なっていき、小さなビル群を作っていく。

最後にデザートのケーキを食べて、お会計をすることになった。

「あ、あの、信濃さん。自分の分は払いますから」

「いいから。今日はお礼だったんだし、払わせて」

自分の分を払おうとしても、信濃さんが払わせてくれず、結局ご馳走になってしまった。