妻に、母に、そして家族になる

「外は寒かったですよね。すぐにお風呂を入れます。それともご飯を先に食べますか?」

「先に風呂に入るよ。ハル、久しぶりに一緒に入ろうか」

「うん」

「じゃあ、準備しておいで」

機嫌を直したハルくんが私達の前から居なくなると、信濃さんは神妙な面持ちになる。

そして私にしか聞こえないように

「ハルに、あの人の事話した?」

と囁いた。

「ただ、信濃さんの知り合いが来たとだけ話しました」

「そうか」

信濃さんが少し安堵した表情を浮かべる。

その顔を見たら「あの」と自然と言葉が口を出た。

あの後、どうなったんですか?と、続けようとした言葉を寸での所で飲み込む。

「いえ、何でもありません」

そして続けようと思っていた言葉をすり替える。

サキさんの事はとてもデリケートでプライベートなものの筈。

とても気になるけど、私が軽々しく聞いてはいけない。