妻に、母に、そして家族になる

「ふーん。橘さんの目から見てもそう思うんだ。俺も、似てる部分が多すぎて、俺の遺伝子強すぎだろって思う時があるよ」

可笑しくて二人でクスクス笑っていると、信濃さんが寝返りを打って顔を正面に向けてくる。

そして手を伸ばすとその甲で私の顔を撫でた。

「橘さんにそっくりな子供がいたら、すごく可愛いだろうなぁ」

何気ない一言が、冷たいナイフのように胸の奥深くまで突き刺さり、胸の奥を冷やした。

私の様子に何かを感じ取ったのか、手の動きが止まる。

胸に広がる鈍痛のような嫌な痛みを感じながら、動きを止めた彼の手に私の手を添えて頬に寄せた。

「それは素敵ですね。でも、ごめんなさい。私は子供を望めない体なんです」

「ごめん、俺……」

「いいえ。話してなかったんですから、仕方ありませんよ」

「気にしないで下さい」と言っても、信濃さんの表情は曇ったままだ。

「それも……病気のせい?」

「病気のせいと言うより、治療の副作用です。命が助かる為に必要なことでした」

「そうか……。ごめん、本当にごめん」

「もういいですよ。その分、今はハルくんが自分の子供みたいに可愛いですから」