妻に、母に、そして家族になる

キシッと椅子が軋む音がすると、信濃さんがこちらに来て床に座った。

「ハルの奴、気持ちよさそうに寝やがって」

そして意地悪な顔をして、ハルくんのつきたてのお餅のように柔らかい頬を、プ二プ二と突っつく。

頬を突っつかれるハルくんは寝苦しそうに眉を顰めている。

「もう。可哀そうですからやめてください」

そう言ってやんわり手を退けさせると、信濃さんは悪戯っ子のような顔でクスクスと笑い、ソファに頬杖をついて眠るハルくんの姿を見つめた。

その目は優しげで、でもどこか羨ましそうにも見える。

「もしかして、膝枕が羨ましいんですか?」

そう冗談めかして尋ねると、信濃さんはチラッとこちらをみて「まあ……」と呟く。

そう答える顔はどことなく赤く、色素が薄目の髪から覗く耳も赤色の染まっている。

さっきハルくんに場所を変わってと言っていたのは、冗談かと思っていたけど、どうやら本当だったらしい。

「なら、しましょうか?膝枕」

「いいの?」

「はい。ハルくんが寝た後とかどうですか」