『よし!
じゃあ今から、俺らの夏休み計画を立てよう‼︎』
どこから取り出したのか、紙とペンを持って笑った快斗君に、私と煌君と翠が苦笑いを浮かべながら頷く。
『とりあえず、夜の学校プールは確実だなー』
『……花火』
『私、りんご飴‼︎』
『海とかどうかしら?』
私の机に紙を置き、それを囲みながらみんなで案を出し合う。
話し合っているうちに、いつの間にか煌君も機嫌を直し、快斗君も完全復活を成し遂げていた。
そんな2人を見て、翠と顔を合わせて溜息交じりの笑みを浮かべ合う。
『……さすが栞莉ね』
小さい声でそう言った翠に、何がさすがなのか分からず首を傾げて見せる。
私の行動を見た翠は、笑いながら何でもないとだけ言い、煌君と快斗君の会話に参加し始める。
『……まぁ、いいか』
そう呟き、私も3人の会話に参加して、夏休みの計画を立てていった。
『そこの4人組。
そろそろHRやるんだから、席につけ』
テストが終わり、午前中で帰れる事を忘れ話し込んでいた私たちに、呆れたように担任が声をかける。
『すいませんでした!』
ふざけた声色でそう誤った快斗君に、クラス中から笑いが起こる。
そんな快斗君を見て、担任も笑いをこらえながら次に次にと進めていった。
『……起立…礼』
委員長の言葉に合わせて、ありがとうございました。と言った瞬間に、クラスのみんなが教室から出て行った。
まるで、監獄から脱出できた囚人のような勢いに驚き、帰る準備をしていた手を止めてしまう。
『ほら、栞莉。
早くしないと置いていくわよ』
そんな私を見て、すでに準備が終わったらしい翠が、教室の扉にもたれかかりながら私に向かってそう言う。
『待って!
今すぐいく!』
本当において行きそうな勢いの翠に、慌ててカバンをつかみ駆け寄る。
『いくわよ』
いつものように、駅前の分かれ道で翠と別れた後も、1人で夏休みについて考える。



