あの春、君と出逢ったこと




煌君から快斗君に視線を移し、また煌君を見る。



快斗君なら煌君を直してくれそうだけど、その快斗君を直すために、煌君が必要なんだよね。



……何だこの2人。物凄く面倒くさい!




煌君と快斗君。
交互に2人を見て、溜息をつく。


このままだと、キリがあかない。


ずっと不機嫌&落ち込んでもらってちゃ困るし。




それにまだ、快斗君の夏休みが消えたわけじゃないんだよ?

夏休みの計画たてたいじゃん。



だって、このメンバーでの夏休みなら、ちゃんと計画立てて、たくさん遊んだ方が絶対楽しいんだもん。





『……快斗君、まだ、夏休みなくなったわけじゃないでしょ?

だからさ、計画立てよう! ね?』




快斗君に向かってそう言った私に、快斗君が顔を上げる。


『俺、まだ希望ある?』



『あるに決まってるよ。

だって、今日まで煌君にしごかれて頑張ってたもん』



不安そうに首を傾げた快斗君に、すかさずそう言って笑みを浮かべる。



『そう、だよな。


5日間、頑張ったし、俺!


俺も夏休みの計画決めたいし、煌、機嫌直して会議するぞ!』




私の言葉にぶつぶつ何かを呟いた快斗君が、勢いよく立ち上がって拳を上に掲げながらそう言って煌君の肩をたたく。




『……煩え』




そんな快斗君を睨みつけた煌君にもひるまず、快斗君が煌君の耳元で何かをつぶやいた。




『……チッ…分かった』



何を言われたのか、舌打ちをした煌君が快斗君を押しのけてそう言った。




……分かったって事は、もう機嫌悪くないって事だよね?



いや、機嫌は悪いけど、話には参加してくれるって事か!



『快斗君、ありがとう!』



思わぬ形で上手くいき、快斗君に笑顔でお礼を言う。



そんな私に、何の事の感謝の言葉なのかわからなかったのか、首を傾げながらも快斗君が笑い返す。