あの春、君と出逢ったこと



尊敬の眼差しを向けた私を見て溜息をついた煌君が、少し不機嫌さを含めた声色で、吐き出すようにそう言う。




万年2位⁇



万年って事は、ずっと1位の人は変わらないってことだよね?



『勉強しても、毎回2.3点差で負ける。


それが、妹だから余計にむかつくんだよ』




『妹っ⁉︎』



不機嫌になっていく煌君なんか気に留めず、思わず妹の方に反応してしまう。


妹って事は、中学の時の1位は翠ってことだよね⁇


それも、万年1位⁇



……万年1位はなんかおかしいけど‼︎



とりあえず、双子でトップ争いしてたって事だよね……⁇



それにしてもね?
この2人と幼馴染のはずの快斗君が、ここまで大変な目に合うのかわかんないんだよね……。




2人なら、危機に陥るたびにスパルタで指導してくれそうだもん。

昔の人みたいにものさし持って勉強を教えて、間違えたら振り下ろす……的な、ね?




『言っとくが、俺達は快斗に昔から教えてた訳じゃない』



だから変な想像するなよ。何て言いながら笑った煌君に、驚きの視線を向ける。


……やっぱ、私の思考読み取ってるよね?




『お前がわかりやすいんだよ』



私を見て鼻で笑いながらそう言った煌君をギロリと睨みつける。


今の台詞は別にいいんだけどね?

バカにされてるのが、気にくわない‼︎




『煌君って、本当むかつく』



睨みつけていた目を細めて、皮肉を込めた声でそう言った私に、一瞬固まった煌君が眉間にしわを寄せる。



その表情が、まるで俺のどこがむかつくんだよ。と訴えているような表情で、思わずこみ上げる笑いを慌てて抑える。




『……何笑ってんだ』



それでも、肩が震えていたのか笑っているのがばれ、煌君がいつもよりワントーン低い声で脅かすようにそういう。