あの春、君と出逢ったこと




『取り敢えず!


夏休みはにすることは3つ!』




いつの間にか、白紙を用意して私達の真ん中に置いた快斗君が、ペンを片手に楽しそうにそう言う。


その白紙を見るため、そんな快斗君の近くで私も苦笑いを浮かべながら身を乗り出す。




『まず1つ目』



そう言って一泊おき、私たちを見渡した煌君が、利き手じゃない左手の方で人差し指を一本立ててニヤリと笑った。




『この街の毎年ある恒例行事、花火大会』




そして、人差し指の他に中指も増やし、2つ目。と付け加える。



『夜の学校に忍び込む。

もちろん、狙いは夜のプール』




最後に。

と言った快斗君が、薬指を立て、勿体振るように間を空ける。




『夜の学校で、花火をする』



そう言いながら、企んだ笑みを浮かべる快斗君を見て夏休みを思い浮かべる。


……快斗君、遊ぶ事とかは好きそうだし。



この計画は、本当に楽しくなると思うけどね?




『それを実行するために、お前は勉強しろ』




私が心の中で言おうとした言葉を、少し、早く口にした煌君に快斗君の口が尖る。




『その計画にあんたが入るか入らないかは、自分次第って事よ』




煌君の後に続けて言った翠にとうとう心折られたのか、快斗君の悲痛な叫び声が私の部屋に響き渡っていった。




『もうお前ら、本当鬼!!!!』