そのまま、翠の打ったシュートは、弧を描いてリングに吸い込まれていった。
『朝倉さーん!』
『スリーポイントッ!』
そんな翠に女の子たちの応援が飛び交う中、翠は私の方に歩いてきて、手を横に出す。
『……ん?』
『ハイタッチ。
まぁ、手が高い位置にある訳じゃないから、ハイでは無いんだけどね』
そう言った翠の手を、笑いながら思いっきり、音がなるくらい強く叩く。
『ラスト1本よ』
そんな私から顔をそらした翠が、ボソッとそう言ったのを聞いて、口元が綻ぶ。
照れてるんだよね、翠や煌君が顔をそらす時。
2人して同じ癖なんて、面白くて笑ってしまう。
これを翠に伝えた時、凄い目で睨まれたけど。
『翠』
『何?』
『私、シュートは壊滅的なんだよね……。
だから、翠よろしくね?』
そう言って満面の笑みを付け加えると、眉間にしわを寄せながら私を見る翠。
ああ、うん。
分かるよ、言いたいこと。
なんでシュートが壊滅的なの?
的な感じだよね⁇
『……私が知りたいよ……』
少し落ち込み気味にそう言った私に、驚いた顔をした翠。
『私が言いたいこと、わかったの?』
『一応。
顔に書いてあったもん』
私の言葉を聞き、慌てて自分の顔を触る翠。
『……分かりにくい方だと思ってたんだけど』
『普段はね?』
私の言葉を聞いた翠が、返事をせず前を向いたのを見て、私も前を向く。
『夏川、やってくれたな』
ドリブルをつきながら笑う秋さんの少し離れたところを走る春さんを見て、慌てて春さんの方に近づく。
まだまだ試合だから、出来ることなら、一瞬で終わらせたい。
そう考えながら春さんを見ていると、秋さんの方から、翠が大声で私の名前を叫んだが聞こえ、視線を移す。
『……速っ』



