kou_side
俺が、栞莉から呼び出されたあの日。
公園に、栞莉の姿が見えることはなかった。
待っていた俺のところに現れたのは栞莉じゃなくて快斗で。
俺に、ここに栞莉は来ない事を告げた。
……あの瞬間、栞莉の返事がわかって。
次の日からの接し方に悩んだ俺の考えは杞憂で。
その日から、栞莉は一度も学校に来なかった。
今日で1年が終わる最後の日。
そんな日でも、いつも通り快斗と廊下を歩いていると、前から翠と誰かが歩いているのが見えて、思わず足が止まった。
それは相手も同じだったらしく、ほぼ同時に立ち止まる。
思わず、俺の口から名前がこぼれたと同時に、あいつの口からも、俺の名前が聞こえて。
『……栞莉』
『こ、う君……』
何も言えずに固まった俺たちに、翠と快斗が慌てたように声をかけてくる。
俺は快斗に、栞莉は翠に返事をして、そのますれ違う。
一言も話さず、振り返らずに反対方向に向かって歩いていく。
まるで今の俺たちの距離だな、なんて思いながら、自嘲気味な笑みを浮かべた。
『校長、相変わらず話ながいよなー』
隣でグチグチ言っている快斗を無視しながら、終業式を黙ったまま聞き過ごした。
『煌、どっか行くのか?』
終業式が終わり、周りが帰っていく中で、人だかりからはずれて校舎に向かう。
そんな俺に声をかけた快斗を振り返って、笑みを浮かべる。
『……ああ、ちょっとな』
快斗にそう言って、フラッと校舎の中に足を踏み入れる。
改めてこう見ると、誰も居ない廊下や教室が、いつもと違うところに感じてしまう。
『……最後に、入るか』
何となく立ち寄ろうとした教室の中に入ろうとした途端、ガタンッと大きな音がして、慌てて教室の中に駆け込む。
そんな俺が目にしたのは、信じがたく、自らの目を疑う光景で。
『……お、い……栞、莉⁇
栞莉⁇ おい、おいっ!』
俺の目に映ったのは、黒板の前で、胸を押さえながら倒れている栞莉。
そんな栞莉に、慌てて駆け寄る。



