私の言葉に反論して睨みつけてくる翠の視線を華麗に無視する。
ちなみに、この一年で翠から見習った技だ。
『……全く』
無視して反応しない私に溜息をついた翠は、諦めたのか何も言わず私の隣を歩く。
『遠いのよ、体育館』
グチを溢す翠に苦笑いを浮かべながら体育館に足を踏み入れる。
体育館に集まるのも、これで最後なんだよね。
綺麗に並ぶ生徒達の背中を見てそう思いながら、私も列に加わる。
暫くすると、教頭らしき人が出てきてマイクを片手に終業式の始まりを知らせた。
短いようで長い時間。
そんな時間を過ごし、プログラムの最後である校長の話まで聞き終える。
『これで終業式を終了いたします』
教頭らしき人の言葉で、特に何をするでもなく。
強いて言うなら、校長の長いお話で自然と終業式は終わった。
……別に、期待していたわけじゃないけど。
これは、私にとっては卒業式だから。
式中、1人だけ泣きそうなのを、必死にこらえた。
だっておかしいでしょ?
1人だけ泣くなんて。
周りのみんなは、きっと、春休みが来る事で喜んでるはずなのに。
体育館から出た私は、そのまま帰っていく人並みに逆らって、鞄を持ったまま校舎に向かって歩く。
だってさ、このまますぐ帰るなんて勿体無いじゃん?
1年お世話になった教室ぐらい、見納めしなきゃだし。
そう思いながら、誰もいない廊下を1人で進む。
静まり返る廊下に、やけに私の歩く音が響きわたる。
『……ついた……』



