あの春、君と出逢ったこと





私の心配をする翠をよそに、笑顔を作ったまま教室に向かう。


『お、夏川じゃねえか!

お前体調は大丈夫なのか?』



『もう万全、です!』


教室に入った私にそう言ってきた担任に向かって、笑顔で敬礼してみせる。


『それだけ元気なら大丈夫だな。

今日は終業式だけだから、午前中だけだせ??』


『本当⁉︎ やったね!』



先生の言葉に嬉しそうに見せるため両手でガッツポーズを作る。



『それと、鞄も教室に置く必要ねえからな。
そのまま体育館へ行け』



『はーい』



私の肩にかかっているカバンを指しそう言った担任に返事をして、カバンを持ったまま体育館に向かう。


……翠、そんな事言わなかったよね?
て事はまさか。


『翠、鞄の事、忘れてた?』


『……何の事かしら?』



体育館へ向かいながら顔を覗き込んだ私から逸らすように目を泳がせた翠を見て、口角を上げる。

やっぱりね。

翠の事だから、そうなんだろうと思った。


隠しきれていない嘘に思わず笑みが浮かぶ。


『やっぱ、な。

翠、しっかりしてるようで、抜けてるからね』



『どういう意味よ、それ』