あの春、君と出逢ったこと






不安げにつぶやいた私の言葉に、ピタリと翠が立ち止まる。




『……翠⁇』





そんな翠の視線の先をたどり、目の前の人物達に私も固まる。




目の前にいた人物2人も固まって、お互い立ち止まった私達4人の中で、変な静寂が流れる。



『……栞莉』


『こ、う君……』




お互いの名前をつぶやき、目を合わせたまま動けない私たちを見て、我に返った快斗君と翠が私達の距離を広げる。




『行こうぜ煌』

『行くわよ。翠』




逆方向に進み、私達を振り返った2人がそう言う。



『……ああ』


『……うん』




そんな翠と快斗君の言葉にそれぞれ頷いた私達は、2人の後ろを追って足を動かす。


スッと。




煌君とすれ違った瞬間、懐かしい香りがして、思わず足を止めて振り返る。




『……煌君』





それでも案の定、煌君の足が止まる事はなく、快斗君とそのまま体育館のほうへ消えていく。


……泣いちゃだめだ、私。




あの時行かなかった私のせいなんだから。
煌君が振り返ってくるなんて、そんな高望み。

したら、ダメなんだ。





『……ご、めん。翠。

いこっか?』




私にかけられた翠の言葉に笑顔を作り、振り返ってそう言う。


『……無理しないのよ』



『してない、してない!』