その赤い何かに近づいていくと、それは神社の外れにある赤い祠で。


周りを見渡すも、やっぱり煌君は居なかった。



『早く見つけないと』



こんな所にいても仕方ないと思い、踵を返して神社に戻ろうと足を進める。




行きの時には気づかなかった、自分の砂利を踏む音が、やけに大きく聞こえてくる。




その事に、思わず立ち止まった時だった。





私とは違う、誰かが砂利を踏む音がして、慌てて周囲を見渡す。




周りは見渡す限り木だらけで、その誰かの姿が見えない事が、余計に私の不安を煽った。




警戒態勢をとっている間にも、次第と足音が近づいてきて、思わず私も一歩後ずさる。




煌君とはぐれた上に、こんな怖い目に会うなんて思ってもなかった。




元旦なのに、神様なんて居ないなと思った時だった。




木々の間から、見覚えのある人物が出てきて、思わず唖然とその人を見つめる。






『やっぱり、迷子かよ』



その誰かは、私を見て鼻で笑ったかと思うと、そう言って私に近づいてくる。




『私のせいじゃ……っ』




言い返そうとした私を、黒い笑みで見つめてきた煌君を見て、慌てて言葉を飲み込む。




『誰のせいだって?』




そう言って私の頬を引っ張ってきた煌君の手を、ギブアップの意味で数回叩く。




『いひゃいから! ひゃなひぃひゃひぃて!』



『……分かんねえよ』






私の抗議の言葉を聞いて、そう言って笑いながらも手を話した煌君から、頬をさすりながら慌てて距離をとる。