あの春、君と出逢ったこと





『翠、どう〜⁇』




『……却下』




『これは?』




『却下』





次から次へと渡される服を着て、翠が却下するのが続いていく。






……全然おわらない!



洋服1つ決めるのが、こんなに大変だとは思わなかったよ……。




その後も何着が来て、ようやく翠が頷いた事で、着て行く服が決まった。



今私が着ているのは、ショート丈の白いコートと少し膨らんだピンクのスカート。



その下から黒タイツを履いている。



靴は、翠曰く茶色のムートンブーツにしろと言うことらしい。






『髪の毛もいじりましょうか?』



時計を見て、時間もあるしと付け加えた翠に頷いて、髪の毛をセットしてもらう。




『翠、手際いいね⁇
いつも自分の髪セットしてるのー?』



大人しく髪をいじられながら、頭を動かさないようにして、鏡越しに翠にそう言う。




『自分の髪はセットしないわ。

家が家だから、自然と上手くなるのよ』




翠は私の言葉にそう返して、出来たわよと笑みを浮かべる。



翠の言葉に鏡を見ると、雰囲気の全く違う私が写っていて、少し驚いてしまった。



『あ、そういえば。
翠の家って、美容室とか⁇』




翠と会話の途中だったことを思い出して、慌てて翠にそう聞く。



忘れてたのは仕方ないよ。
翠、うますぎるんだもん。



誰だって驚くと思うし!




『ええ。何なら、次は煌にやって貰いなさい』





『煌君⁉︎』




ニヤッと笑った翠が言った言葉に、思わず反応してしまう。



……これじゃ、翠の思う壺だよね?




それにしても、煌君もこんなに綺麗にセットする事が出来ることが意外なんだけどなぁ。