ボソリとそう呟いた煌君の手が私に伸びてきて、そのまま、私の頬を強くひねる。
『……変な顔』
『ほぉふんのふぇいにゃからね!』
私の顔を見て笑みを浮かべる煌君に、慌てて抗議する。
頬をつねられているせいか、自分でも、何を言っているのか分からない言葉が出てくるだけだけど。
『これ以上ダラダラしていたら、本気で遅刻するな』
そう言いながら私の頬から手を離す煌君から、慌てて距離をとり、自分の頬を抑える。
ドキドキ、とかじゃない。
トキメキとかじゃなく。
ただ単に、頬がヒリヒリと痛む。
『……行くぞ』
煌君は、睨んでいる私を見て口角を上げ、先に進んで行く。
『……なんなんだろう……⁇』
煌君の行動に、疑問を持ちながら、私も煌君の後を追い、急いで体育館に向かって行った。
『おはよう! 夏川!』
体育着に着替え、体育館に入った瞬間、私を呼ぶ大きな声が響き渡る。
目の前にいたのは、いかにも体育会系教師で、熱血教師なんて言葉を頭に思い浮かべるような教師。
『……おは、ようございます』
そんな先生に苦笑いしながら返事をする。
……あれ? 今って、午後だよね?
おはようが可笑しい気がするのは、私だけかな?
そんな事を思いながらも、口には出さない。
……面倒そうだからね、この先生。
『山先生ー! 今日は留美先生居ないんですか?』
熱血教師、こと、山先生に女の子が手を挙げながらそう言う。
留美先生は、体育女子担当の先生なのかな?
『ああ、そうだ。
と言うわけだから、今日は男女合同でバスケをする事にした!』



